(宗教工芸新聞2015年10月15日号より引用)
ハロウィン気分をお仏壇に
ヨーロッパに行って来ました。
私の主宰するスクールの基調デザインはデンマークのスタイルがミックスされていますから、素材の仕入れや視察の旅は欠かせません。
今回も、まずコペンハーゲン空港に降り、好きなアーティストの店を訪問したり、電車で40分ほどのすぐお隣のスウェーデンで花器を買い付けたりした後、ドイツに行きました。
ロマンチック街道を南下し、フッセンの街に到着したところで、畑の脇にたくさんの大きなカボチャがゴロゴロしている光景に出会いました。
ハロウィン用のカボチャの無人販売所でした。
背景に迫った山の緑とかぼちゃのオレンジの対比が美しく、おもわず写真におさめました。
ハロウィンは、日本でもカボチャをくりぬいたランタン作りや仮装をするお祭りが浸透してきていますが、起源はアイルランドなど古代ケルトの信仰で、秋の収穫を祝い、悪霊などを追いだす意味があったといわれています。
ドイツでは、戦後に駐留したアメリカ兵がハロウィンの習慣を伝えたのをきっかけに、菓子業界が普及の後押しをしたそうですから、日本のバレンタインに似ているかもしれません。
工作好きの私にとって「ジャック・オー・ランタン」と呼ばれるハロウィンのランタン作りは楽しみです。
息子の乳歯が抜け始めた頃のニッと笑った口元が、このランタンにそっくりだったことも思い出します。
栗、柿、イチョウ。
秋の恵みをご先祖さまにお供えするのに、10月31日のハロウィン気分を盛り込んでみました。
小さなお仏壇にお供えするのにかぼちゃは大きすぎますから、アートの柿をランタンに見立て黒のマジックで顔を描いてみました。
世界各地を旅していると、文化は互いに影響し合い混じり合い、新たな文化が生まれているのを実感します。
ですから、こんないたずらをご先祖さまも楽しんでくれると思います。
(坂本裕美 アートフラワー作家 カラコレス代表)