
(宗教工芸新聞2015年1月15日号より引用)
可憐でたくましい一年を願って
私の主宰する教室では、だいたい千種類くらいのお花を常時ストックしています。
最初はドライフラワーばかりだったのですが、プリザーブドフラワーが登場して、このところアートフラワーの質がすばらしいので増やすようになり、それと競うかのようにプリザーブドも多様化してきてと、素敵な素材がどんどん増えているからです。
おかげで教室に保管するだけでは間に合わなくなり、倉庫用に古い家を借りています。
ある日、この家の持ち主の奥さまがやって来て「近くだから遊びにいらっしゃい。クリスマスローズがたくさんあるから差し上げるわ」と言いました。
私が大のクリスマスローズ好きなのを御存知のはずはないのに不思議だなと思いながら、図々しくおじゃますると、芝生の庭を取り囲むようにたくさんのクリスマスローズが茂っていました。
花の色は白からグリーンまで多彩、品種も清楚な一重から迷路のような八重咲きまでさまざまでした。
奥さまは「実生だから丈夫よ」と言いながら株を掘り起こし、6株ほど分けてくれました。
実生というだけあって小振りでしたが、根も葉もしっかりしていました。
我が家の庭に移植したところ、6株全部根付いて大きな株に成長しています。
その後、自分でもピンクや茶色を買い足し、また友人と交換したりで、今ではにぎやかなクリスマスローズの庭になっています。
丈夫なので寒い信州でも育てやすく、種類の豊富なのが魅力です。
可憐なのにたくましいクリスマスローズのような一年でありますようにとの願いを込め、今年初のお仏壇の花をアレンジしてみました。
脇役はチューリップをあちこちに向けたかのようなフリティラリア・メレアグリス。
花器には手漉きの美濃和紙を使い、和風にしてみました。
(坂本裕美 アートフラワー作家 カラコレス代表)