
(宗教工芸新聞2014年5月15日号より引用)
凛とした青から優しい水色まで・・・梅雨時を飾る花・・・
梅雨時は青い花が似合います。
雨粒が青空の記憶を映すように輝くせいでしょうか。
そういえば、個人のお宅の庭を訪ね歩くのがテーマのイギリス旅行に参加した時、緯度が高いイギリスでは青い花がきれいに見えるのだと聞き、確かにハンギングバスケットも窓辺を飾るコンテナのブルーもひときわ鮮やかに感じられたのを思い出しますが、日本の青い花だって負けてはいません。
例えばアヤメや花菖浦、そしてアジサイ。アヤメや花菖蒲のように、内側に立ち上がる花びらと外側に広がって垂れる花びらで構成される独特の形は、一見するとお仏檀には華やか過ぎるように感じられるかもしれませんが、高貴な紫がかった青系統ならしっくりと落ち着きます。
こちらをメインに、季節感たっぷりのアレンジを作ってみました。
脇役でいつも大活躍のアジサイも今の時期なら、まるで庭先から摘んできたようにナチュラルです。
アジサイの青色は土壌の酸性度と関係するそうですが、繊細な造花のお花なら最高の青を留めてくれます。
もうひとつは、この季節くらいは主役に抜擢したい薄水色のアジサイを引き立ててみたくて、真っ白なジャーマンアイリスをメインにしたものです。
造花でつくるアートのお供え花も、こうして季節のアレンジにしてみますとお部屋全体が潤います。
あるお仏壇店に弊社のアートのお供え花をご紹介がてら持参したところ、たった一対のお花を置いただけで広い店内が明るくなることに驚かれていました。
可憐なお花の力に感動です。
(坂本裕美 アートフラワー作家 カラコレス代表)